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Interviewテーマ:店販特化 Vol.12

“今、最も知って頂きたい美容師様” の
美容師キャリアを大公開!
~わたしの7ルール~

テーマ:店販特化
/Vol.12
店販力UPには「この人のアドバイスを聞きたい」と
思わせるようなヒアリングと提案が肝心
『ORO』武庫之荘店店長、アートディレクター
宗東 卓 Munetou Suguru
宗東 卓
Munetou Suguru

『ORO』武庫之荘店店長。アートディレクター。
1987年12月20日生まれ。山口県出身。
大村美容ファッション専門学校卒業。
1店舗を経て2014年に『ORO』入社。
2020年度全店舗指名売上No.1に輝く。
サロンワークを中心に、カウンセリングや店販力UPなどの外部講師としても活躍中。
2020年12月には、月間店販売上200万円を達成するなど、
お客様から絶大な支持を集めている宗東さん。
店販の外部講師としても活躍している宗東さんに
押し売りにならない上手なすすめ方を教えていただきました。
Topic
1
なぜそれが必要なのかを
理論的にわかってもらうことが大事
店販はどのタイミングでおすすめしていますか。

店販は商品を売るというより、自分の作ったデザインを良くするために何が必要かを提案するものなので、カウンセリング~施術~仕上げ~店販まですべて連動しています。カウンセリング時にお悩みやご希望をヒアリングしておき、施術中におすすめすることが多いです。来店時からお帰りまでの流れの中で、僕からお客様にお伝えする情報量をだんだん減らしていくことがポイント。お客様は仕上げの段階では「早く帰りたい」という思考になっているので、仕上げは極力短時間で「これは先ほどお話した物ですが…」という感じでできるだけ会話もスムーズにします。帰りたい気持ちになっている時に色々ご説明しても聞く耳を持っていません。聞く耳を持っているのはもっと早い時間です。そこは気をつけています。

店販をおすすめする際に必ずやっていることは何ですか。

常に自分にとって”旬の商材”についての情報をアップデートしています。どんどん新しい物が出るので全部について幅広く薄く知識を得るというより、今はこれだと思う物=旬の商材をスタイリングやシャンプーなどのカテゴリーごとに3つ絞り込み、その3つについて深い知識を身に着けることを心がけています。商品の知識が浅いとお客様の心を動かすことはできませんし、いつも同じだとお客様も飽きてしまいます。ですのでシーズンごとに商材を変えてご提案できるように準備しています。また、お客様の目の前に商品を置いて視覚的にアプローチし、香りを嗅いでもらって嗅覚を刺激し、触ってもらって触覚を刺激する、ということも大事なポイント。お客様の目線や動作をつぶさに観察して、タイミングよくプレゼンしています。

男性美容師だからこその提案のコツを教えてください。

カウンセリングで「共感」を意識するのは女性美容師と一緒だと思いますが、共感から提案へと導くことが鍵になってきます。カウンセリングで共感しつつヒアリングをし、次に具体的なデザインの提案に切り替わる時に、「このスタイルを作るのに○○というスタイリング剤が必須になります」という説明をする場合、なぜそれが必要なのかということをお客様に理論的にわかってもらうことが大事です。女性美容師なら「私も使っていますがいいですよ。使ってみませんか?」だけで売れるかもしれませんが、共感だけでは男性美容師から商品を買いたいとは思わないと思うんです。「この人のアドバイスを聞きたい」と思わせるようなヒアリングと提案を意識することが大切です。また、「このスタイリング剤を使えば朝のスタイリングが3分早くできます」など、わかりやすい数字で表現することも心がけています。

Topic
2
店販は、お客様に自分やお店を
思い出してもらう大切なツール
宗東さんはアシスタント時代も店販をよく売っていたのですか。

いえ、全然売れませんでした(笑)。元々商品を販売するのが気まずいというか、押し売りに捉えられたらどうしよう…という思いが強かったんです。売れるようになったのは、技術と店販の役割を理解できた時です。失客の原因で多いのが「なんとなく近所に新しいサロンができたから」みたいなことですよね。でも店販をご購入していただければ、その商品がなくなった時にお客様が自分やお店のことを思い出してくれるきっかけの1つになることに気が付いたんです。店販は家に帰ってからも思い出してもらえるツールとしてとても重要なんだと考えるようになり、そこから100%の人に買ってもらわないと!というくらいの気持ちになりました。


スタッフにどのようにアドバイスしていますか。

僕は元々売ることができなかったタイプなので、それで悩んでいる人の気持ちがよくわかります。押し売りになる理由は、知識がなかったり、なぜそれが必要なのかをそもそも自分が理解できてないことがほとんどです。商品をすすめるというより、どうしたらお客様が家で再現できたりケアできるかを提案してみたらとアドバイスしています。OROのアシスタント過去最高月間店販売上は100万円です。アシスタントでもジュニアスタイリストでもちゃんとお客様との関係性が築けていれば、デビュー後にその店販力が絶対的な武器になると思います。

店販が売れるようになって、お客様に変化はありましたか。

店販に注力して取り組み始めてから、リピート率と技術売上の客単価が上がりました。すすめられて購入した商品が好評だったり、お客様との信頼関係が向上したことによって技術に対しての信頼度も上がったからだと思います。何かメニューを提案した時「あなたが言うならやってみるわ」となるような風土を作りたくて、店販に力を入れていると言っても過言ではありません。

Topic
3
6割の迷っている人に的確な
クロージングができれば結果が変わる
宗東さんは店販の外部講師もされています。どんな悩みが多いと感じていますか。

クロージングがわからない、とよく言われます。全体の約6割は、商品をプレゼンされたらいいなとは思うけど、どうしようかな…と迷う人なので、その6割の人にどういうクロージングをすべきかで結果が変わってくるのではないでしょうか。
僕はあらかじめヒアリングした状態で仕上げをスタートしているので「普段○○を使っているとおっしゃっていましたが、このスタイルなら○○のほうがいいと思うので、これを使ってみてください」と言ったり、お会計の時に「さっきお話したのはどうされますか?」と言ったりしています。もごもごせず、変な間を置かずに断りやすいトーンでさらっと言うことが大事です。

今、いちばん売れている商品は何ですか。

b-exさんの『ミリ』のソフトジェルです。旬な質感が作りやすいと好評です。スタッフが使っているのを見てイメージしてもらうことができ、ご購入につながりました。全体で言えばバームやスタイリングオイルなどがよく売れています。

今後、店販をどう強化したいですか。

僕のお客様の約7割が僕がおすすめしたシャンプー&トリートメントを使っています。アウトバストリートメントに関してはほぼ全員がご購入されていると思います。店販を持っているお客様の比率がその美容師さんの信頼度を表すと僕は思っているので、顧客の50%が自分のすすめた物を使っているということを目標にジュニアスタイリストを育てたいです。カウンセリングがしっかりでき、店販に対しての思考が確立できれば、自ずと売上は伸びるのではないかと思っています。

宗東 卓さんの「7ルール」
毎朝の20分の朝礼の内容を常に色々なジャンルから探す

毎朝20分、スタッフに話をするのですが、時事ネタを共有しつつ情報量をプラスして、最後は美容の話に結び付け、スタッフのマインドを上げた状態で1日をスタートするために行っています。最近は大谷翔平選手を例に挙げ、一流の人がしていることを取り入れようという話をしました。ネタ探しは大変です。

サロンに入る時は誰よりも元気よく挨拶、笑顔でコミュニケーション

元々コロナ前は「握手挨拶」をしていました。でも今はできないので、僕が元気よく挨拶をすることで「今日も1日始まるぞ」という心のスイッチを入れてほしいと思っています。トップがサロンの空気を作るので、僕がいつも変わらないテンションで笑顔でいることはとても大事だと考えています。

仕事では、着たい服より誰が見ても清潔感のある服装を意識する

だらっとしただぼだぼの服装の人と、パリっとしたジャケットとシャツを着ている人、どちらが第一印象として安心感を与えるか。当然、信頼してもらいやすい服装の人ですよね。うちのお店は男性は襟付きのものを着用し、短パンやトレーナーはNG。目上の人にも対応できる服装を徹底しています。

サロンワーク中は、前向きなマインドと行動で引っ張る

僕のいる店舗はコの字型にセット面が配置されているので、僕の声はすべてのスタッフやお客様に聞こえます。僕はネガティブな感情は接客業として人に見せてはいけないと思っているので、聞き取りやすい声で前向きな接客をする姿を背中で見せ、サロン全体の提案力を底上げできるようにしています。

店舗内の美観に1番のこだわりを持つ

サロンが汚いだけでスタッフのモチベーションが下がりますから、掃除は徹底しています。お店の些細な美観にこだわれれば、お客様の些細な変化にも気づけるのです。自分たちは単価の安いサロンではないというプライドを持って、まずはサロンをきれいにすることにこだわっています。

レスポンスのスピードにこだわる

たとえば会社で何かしようとなった時、素早くリアクションできる人とできない人とでは得られるチャンスが変わると思うんです。サロンワーク中でもちょっとした空き時間に業務連絡の返信をするなど、レスポンスを早くすると頼ってもらえる瞬間が増えますし、結果も早く出せると思います。

毎月、神社に参拝する

自分の情報の整理や、もっとやらなくてはいけないことを考えるために、神社に行っています。西宮神社には「今月は○○をがんばろうと思います」ということを毎月言いに行っていて、毎年1月には伊勢神宮にも行きます。何かプラスなことが起こる気がする…と思い込み、入社以来続けています。

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