スズキユタカ
2023/09/26
美容室でヘアカラーをした後、美容師さんから「今日はシャンプーしないでくださいね!」と言われたことはありませんか?
これは一般的にヘアカラーの定着には48時間前後かかるといわれているから。でも、スタイリング剤をつけてもらったときや焼肉を食べに行ったときなど、ヘアカラー当日にシャンプーしたくなることもありますよね。
そこで今回は、お客様からよく聞かれる「ヘアカラー後のシャンプーは2日後にしないと色落ちが早くなる?」「どうしてもヘアカラー当日にシャンプーしたいときはどうしたらいい?」といった疑問にお答えしていきます。記事の後半では、私が実際に毛束を使って検証してみた結果もご紹介。
いつもヘアカラー当日はシャンプーしてよいのか迷う方はぜひ参考にしてください。
まずはヘアカラー当日にシャンプーしないほうがいいといわれる理由を詳しく解説します。
髪の毛は表面のキューティクル(毛表皮)、内側のコルテックス(毛皮質)、中心部のメデュラ(毛髄質)の3層構造でできています。
髪の表面は無色透明のキューティクルが何枚も重なって覆っている状態です。毛髪を摩擦などの外的刺激から守ったり、髪内部の水分やタンパク質が流出しないよう防いだりする役割を担っています。また、キューティクルは濡れると開く性質があります。
ヘアカラーをすると以下のような仕組みで髪が染まります。
脱色と発色が完了するまでには一定の時間がかかります。セルフカラーや美容室でのヘアカラーに放置時間が必要なのはそのためです。
放置時間が短すぎるとしっかり染まらず、逆に長すぎても髪へのダメージが大きくなってしまいます。美容室でのヘアカラーは美容師が一人ひとりの髪の状態や明るさをチェックしながら、適切な放置時間を見極めているのです。
最初にお伝えしたとおり、ヘアカラーがしっかり髪に定着するには48時間前後かかるといわれています。そのため、ヘアカラー後しばらくはまだ髪に色が完全に定着しきっていない不安定な状態。ダメージも受けやすくなっています。
この間に洗浄力の強いシャンプーでゴシゴシ洗ったり、摩擦や乾燥などの刺激を与えたりして髪に負担をかけると、色落ちしやすく髪も傷みやすいのです。
だからこそ、ヘアカラー当日のシャンプーはできれば避けたほうがベター。もしシャンプーしたいときはカラーケア用のシャンプーでやさしく洗うのがおすすめです。
続いて、シャンプーでヘアカラーが色落ちしてしまう原因を詳しく解説します。
ひとことで「ヘアカラー」といってもいくつか種類があり、種類ごとにシャンプーによる色落ちのしやすさが異なります。
おもなヘアカラーの種類は以下の3つです。
一時的に髪の表面に色を付着させ、一度シャンプーをすると元に戻るタイプのヘアカラー
(カラースプレー、カラーコンシーラーなど)
髪に色を塗って染め、シャンプーのたびに徐々に色が落ちて元に戻るタイプのヘアカラー
(ヘアマニキュア、ヘアトリートメントなど)
一度染めると色が長く定着し、シャンプーしても元には戻らないタイプのヘアカラー
(市販や美容室の酸化染毛剤)
永久染毛剤は一時染毛料や半永久染毛料と異なり、シャンプーですぐに完全に色が落ちてしまうことはありません。とはいえ、まったく色落ちしないというわけでもないんです。
この記事でお伝えする「ヘアカラー」は、基本的には永久染毛剤のことだと思ってもらって構いません。
ヘアカラー(永久染毛剤)で染めた髪は、髪の内部のメラニン色素に変化を加えているので、一度や二度のシャンプーでは色落ちしません。しかし、髪表面のキューティクルは水に濡れると開く性質があり、熱や紫外線によるダメージではがれてしまうこともあります。
そのため、毎日のシャンプーや外的刺激によって少しずつ内部の色が外に流出し、徐々に色落ちしてしまうのです。
ここまででヘアカラーがシャンプーで色落ちしてしまう理由と、色落ちを防ぐためにはヘアカラー後のお手入れが重要であることがなんとなくご理解いただけたのではないでしょうか。
以下に、ヘアカラー当日以降のシャンプーとヘアケアのポイントをお伝えします。日頃から意識することで色落ちを防ぎ、キレイな髪色を長くキープできるのでぜひ試してみてください。
ヘアカラー当日はできればシャンプーしないほうがよいでしょう。もし汗やニオイ、汚れなどが気になる場合は、カラーケア用のシャンプーでやさしく洗うようにしてください。
一般的な市販のシャンプーは洗浄力が強いものが多く、色落ちが早くなるおそれがあります。キレイな髪色を長くキープしたい場合はカラーシャンプーやカラートリートメントなど、カラーケア用のヘアケアアイテムを使うのがおすすめです。
スロウ カラーシャンプー アッシュ
スロウ カラーシャンプー アッシュは、抜けやすい寒色系の染料を補いながら赤みを抑え、アッシュカラーの色持ちをよくします。ダメージケア成分配合で、やわらかな手触りとツヤのあるキレイな髪色に。
ティントバー カラートリートメント
鮮やかなカラーのヘアケアにはティントバー カラートリートメントがおすすめです。
週1回のケアで髪にうるおいを与えながら、色落ちを感じやすい鮮やかな色をしっかりチャージ。忙しい人でも続けやすいカラートリートメントです。
▼カラートリートメントの使い方はこちらの記事をチェック!
髪が濡れるとキューティクルが開きます。つまり濡れた髪はダメージを受けやすく、色落ちしやすい状態。髪が濡れている時間が長いほど色落ちがどんどん進行してしまいます。
入浴後は髪を濡れたままにせず、早めにドライヤーで乾かしましょう。
髪が乾燥するとダメージにつながり、色落ちスピードを速める原因に。入浴後はヘアミルクやヘアオイルでしっかり保湿することが大切です。ドライヤーの熱からも髪を守ってくれます。
ロレッタ エメ ミストケアオイル
ロレッタ エメ ミストケアオイルはミストタイプのアウトバスケアオイルです。ドライヤーによるダメージから髪を守ります。
ロレッタ エメ ナイトトリートメント
ロレッタ エメ ナイトトリートメントは寝ている間にじっくり浸透する美容液成分配合のトリートメント。うねりや広がりを抑え、翌朝までしっとりまとまります。オイルが苦手な方にもおすすめです。
寝ている間に寝返りをすることでも髪に摩擦が起こり、ダメージと色落ちの原因になります。寝るときはナイトキャップをかぶると摩擦を軽減でき、髪への負担が少なくなるのでおすすめです。乾燥や寝ぐせも防いでくれます。
アイロンやコテは熱で髪にダメージを与え、色落ちスピードを速めてしまいます。アイロンやコテを使う場合は設定温度を140℃~180℃にし、同じ場所に長くあてすぎないように注意してください。
シャンプーによるヘアカラーの色落ちは避けられないとはいえ、当日にシャンプーした場合と翌日以降にシャンプーした場合ではどのくらい色落ち具合に違いがあるのでしょうか。
実際に毛束にヘアカラーした後にシャンプーするタイミングを変えて検証してみました。
人毛の毛束を使って検証します。
※使用したヘアカラー剤:スロウカラー(アッシュ)
ヘアカラー当日からシャンプーし、その後3週間毎日シャンプーした状態の色落ち経過です。
ヘアカラー当日からシャンプー→3日経過(3回シャンプー)した髪
大きな変化は見られませんが、放置時間が10分の毛束は早くも若干色が抜けてきています。
ヘアカラー当日からシャンプー→1週間経過(7回シャンプー)した髪
意外と放置時間が10分の毛束の褪色はそこまで進まず、逆に20分・30分の毛束の褪色が進んだように見えます。
ヘアカラー当日からシャンプー→3週間経過(21回シャンプー)した髪
放置時間が10分の毛束はやはり褪色が進み、ややオレンジっぽい自毛の色素が見えてきました。放置時間が20分・30分の毛束もカラーリング直後より色落ちして見えます。
思いのほか10分しか置いてなくてもアッシュの色味が残っていると感じますが、やはりヘアカラー当日にシャンプーをした場合、ある程度の色落ちは見られる結果になりました。
ヘアカラー当日はシャンプーせず、翌日(24時間後)からシャンプーし、その後は同様に3週間毎日シャンプーした状態の色落ち経過です。
ヘアカラー翌日(24時間後)からシャンプー→1週間経過(7回シャンプー)した髪
ヘアカラー当日からシャンプーした髪に比べると、放置時間が10分の毛束でも1週間経過しても色落ちがあまり見られません。
放置時間が20分・30分のものよりは色が抜けてはいますが、当日シャンプーしたものよりもアッシュ感は残っていて明度もそこまで上がっていません。
ヘアカラー翌日(24時間後)からシャンプー→3週間経過(21回シャンプー)した髪
3週間経つと、やはり10分しか放置してないものは色落ちしています。とはいえ、20分・30分放置した髪はヘアカラー当日からシャンプーした髪より明らかに褪色がゆるやかです。
ヘアカラー当日と翌日はシャンプーせず、2日日後(48時間後)からシャンプーし、その後は同様に3週間毎日シャンプーした状態の色落ち経過です。
ヘアカラー2日後(48時間後)からシャンプー→1週間経過(7回シャンプー)した髪
放置時間10分の髪はやや色落ちが見られます。3本ともヘアカラー翌日(24時間後)からシャンプーした髪とほとんど変わらない結果でした。
ヘアカラー2日後(48時間後)からシャンプー→3週間経過(21回シャンプー)した髪
3週間経過後もヘアカラー翌日(24時間後)からシャンプーした髪の経過とほぼ同様です。染めたてよりは色落ちしているものの、20分・30分放置した髪はヘアカラー当日からシャンプーした髪に比べると色持ちがよいです。
ヘアカラー当日・翌日・2日後からシャンプーし、3週間分シャンプーした髪を比較した画像です。放置時間はすべて20分です。
今回の検証結果をまとめると以下のことがいえます。
・ヘアカラー当日からシャンプーすると、翌日・2日後にシャンプーするよりも色落ちが早い
・ヘアカラー後24時間経過していれば、翌日からシャンプーと2日後からシャンプーの経過に大きな差はない
・シャンプーのタイミングよりもヘアカラー剤の放置時間のほうが色落ちに影響を与えやすい
やはりヘアカラー当日のシャンプーは避けたほうが色落ちは防げる結果に。とはいえ、適切な放置時間を守っていればそこまで大きな差はないので、絶対にヘアカラー当日にシャンプーしてはいけないわけではありません。夏場やニオイが気になるときは無理に我慢しなくてもよいでしょう。
そして、ヘアカラーの定着には48時間前後かかるといわれていますが、実際には24時間経過していれば、それ以上は大きな差はありませんでした。よってヘアカラー後は2日後まで待たなくても、翌日からシャンプーして問題ないと思われます。
また、今回の検証結果ではシャンプーのタイミングよりもヘアカラー剤の放置時間のほうが色落ちに影響することがわかりました。
美容室でヘアカラーをする場合は美容師が染まり具合を見て放置時間を決めるので大丈夫だと思いますが、確実に時間を確保するためにもカラーの予約をしているときは必ず時間どおりに来店をお願いします。
髪の状態や使用するヘアカラー剤によって色落ち具合は異なるのでこの限りではありませんが、少しでも参考になれば幸いです。
引用元:カラログ
ヘアカラー後はシャンプーのタイミングも大切ですが、その後のヘアケアも色落ちやダメージに大きく影響します。シャンプーとあわせてヘアケアも意識しながら、キレイな髪色を楽しんでくださいね。
それでも色落ちしやすい場合は、色落ちしにくいカラーや濃いめにカラーを入れるという選択肢もあるので、担当の美容師さんに相談してみるのもおすすめです。
KiRANA SENDAI
スズキユタカ